昭和33年度の一橋大学受験生向けの生物の傾向と対策

1958年度(昭和33年度)の一橋大学受験生向けの赤本(教学社)に載っていた一橋大学の『傾向と対策』p 13~15の『生物』を載せてみる。

ただし、ブログ記事であるので、入力方法を変更したところがある。






傾向と対策

生物

(出題の傾向)最近3年間の出題を内容からまとめてみると次表のようになる。


・30年度
単元(形態:出題なし 生理:②③ 反応調節と生態:出題なし 発生と遺伝:① 進化と分類:出題なし 綜合問題:出題なし)
形式(記憶:② 能力:①)

・31年度
単元(形態:③ 生理:① 反応調節と生態:② 発生と遺伝:出題なし 進化と分類:③ 綜合問題:出題なし)
形式(記憶:② 能力:①)

・32年度
単元(形態:出題なし 生理:③ 反応調節と生態:出題なし 発生と遺伝:出題なし 進化と分類:出題なし 綜合問題:①)
形式(記憶:① 能力:②)


1 (単元別の傾向)科学としての生物学は実験や分析や綜合を中心とした学習が必要で, 単なる暗記学科ではない。日頃の学校での実験や観察が受験の際の強い力になることはいうまでもない。ことに一橋大学についてみると, この学習態度の重要性が痛切に感ぜられる。この大学の出題は決して高度な知識を要求するものではないが, バラバラに寄せ集めたような知識では決して成功は得られまい。生物学に対する広いしかも統一された学習が要求される。具体的に検討すると, 生理に関する問題が圧倒的に多いのが特徴的である。更に生態, 反応調節といった単元から現代生物学の先進的な問題点に関連した(しかし内容それ自身は決して難解なものではない!)ものが多く出題されている。出題傾向は必ずしも広く各単元に分布しているとはいいきれない。特筆されるのは, 呼吸生理に関することが例年何らかの形をとって出題されていること, とかく記憶に頼りがちな形態に関する問題, 生態, 発生, 遺伝に関する出題が余り多くないということであろう。

2 (形式からみた傾向)形式からみると30年, 31年と選択法や完成法, あるいは○×法等が主に用いられていたのに対し, 32年では一転して叙述形式の解答を要求する記述法が3問中2問を占めるに至った。この傾向は今後更に引続いて出題される形式と考えられる。実験結果に関連させた問題も注目される。

(対策)上述したように過去3年間の傾向では決して難しい知識は必要でない。教科書に重点をおいた学習でよいが, 31年の(1), 32年の(3)等では教科書だけの知識では戸惑うかもしれない。従って参考書等で補うにこしたことはないが, その際の参考書はたとえ定評のあるものでも古典的なものよりはむしろ新しい内容を具備しているものの方が望ましい。しかし難しい知識を無理につめこむ必要は全くない。教科書に記載されている事実や現象を機能的にしっかり身につけることに重点をおくべきであろう。いわゆる選択法などによる出題もこの大学の場合には単なる記憶だけに頼れないものが多い。しっかりした科学的理解能力の訓練が十分に必要とされる。

 実験にからみ合わせた出題が特に多いといった傾向はないが, 教科書に記載されてある実験は, たとえ実際に行えない条件の場合でも念入りに検討しておくことが望ましい。

 また, 他学科(特に化学)の基礎的な理解が重要なことは最近の出題傾向からみて当然と考えられる。生理方面でしばしば生化学反応の方程式が教科書にのっているが, その反応式の理解があってこそその生理現象を十分に摑んだといえるので, 生半可にすっとばしてはいけない。

 最近の出題傾向からみて予想される出題はやはり生理に関する方面が一番考えられる。単に現象の記憶ではなく, 生物体の統一したはたらきとしての摑み方が大切である。なお神経, ホルモン等の反応調節の分野, 生態方面にも注意を払われたい。また, 記述法が予想されるので, 簡明に整理されしかも的を外さない叙述の訓練が必要であろう。





「引続いて」については原文の通りに入力した。「総合」と書いてあったり、「綜合」と書いてあったり、表記がばらばらだが、原文通りに入力した。



以下、私の考えを書いておく。

「教科書に重点をおいた学習でよいが, 31年の(1), 32年の(3)等では教科書だけの知識では戸惑うかもしれない。従って参考書等で補うにこしたことはないが, その際の参考書はたとえ定評のあるものでも古典的なものよりはむしろ新しい内容を具備しているものの方が望ましい。」
を読んで、一橋大学に合格するために、生物では、小学校・中学校・高校で学んでいることだけでは足りないように思ったかもしれない。

しかし、1960年(昭和35年)11月実施 旺文社模試では、一橋大学の合格者平均点の得点率は62.1%~64.7%であり、低かった。
駿台模試の話ではない。
問題が易しい旺文社模試なのにこんなに低かったのである。

したがって、難問を解くことができなくても合格できたことがわかる。

特殊事情がない限り、基礎ができてない者が難問を解くことができるわけがない。
それに英語・数学・国語がこの程度の出来なのに生物だけが高校レベルを超えているのが当たり前というのは不自然である。
また、年度については昭和33年度からほんの2年間しか経過してない。
この程度の年数で一橋大の人気が凋落したと考えることは不自然である。

それに、1959年度(昭和34年度)ごろの一橋大学の第2次試験の合格者最低点の得点率の目安も58%~63%程度であり、低かった。

年度については昭和33年度からほんの1年間しか経過してない。
この程度の年数で一橋大の人気が凋落したと考えることは不自然である。

そういう点からも、難問を解くことができなくても合格できたことがわかる。

以上より、小学校・中学校・高校で学んでいることを中心にして勉強していけば合格できたことがわかる。



このへんは
『旺文社模試(昭和35年11月実施)なのに東大文科Ⅰ類の合格者平均は7割未満だった。』(2020年1月16日)
https://supplementary.at.webry.info/202001/article_5.html
『昭和35年度一橋大学受験生向けの大学案内(合否の目安・就職状況)』(2020年1月4日)
https://supplementary.at.webry.info/202001/article_4.html
で述べた。




【1960年(昭和35年)11月実施 旺文社模試の合格者平均点】
一橋大(経済学部) 220点(得点率:64.7%)← 旧商大
一橋大(法学部) 216点(得点率:63.5%)← 旧商大
一橋大(社会学部) 213点(得点率:62.6%)← 旧商大
一橋大(商学部) 211点(得点率:62.1%)← 旧商大







【1959年度(昭和34年度)ごろの一橋大学の第2次試験の合格者最低点の得点率の目安】
(大学当局からは合格者最低点は非公表であった。しかし、当時の赤本(教学社)に載っていた「大学案内」の「合否の目安」に目安が載っていたので、それをもとにして私がまとめたもの)

商学部:504点程度(800点満点)(得点率:63%程度)

経済学部:504点程度(800点満点)(得点率:63%程度)

法学部:480点程度(800点満点)(得点率:60%程度)

社会学部:464点程度(800点満点)(得点率:58%程度)




せっかくだから、国立大学で大学入学共通テスト・個別試験に生物があり、かつ、その大学の大学別模試の生物の過去問集がある場合の現在の受験生におすすめの生物の勉強法を書いておく。

① 高校の授業が進んだら、その分、高校で使っている生物の問題集を解く。
 授業でとばした問題も、自分でする。
 そして、間違えた問題に印をつける。
② 翌日以降のどこかで、印のついた問題を、解く。
③ さらに間違えた場合、さらに翌日以降のどこかで…(解くことができるようになるまでこの繰り返し。)

④ ある程度、高校で使っている生物の問題集を進めて、きりがいいところまで進めたら、その範囲の大学入試センター試験の生物の過去問、実際に受験する予定の大学の個別試験の過去問、その大学の大学別模試の過去問集を解く。

大学入学共通テストは、大学入試センター試験の生物の過去問と傾向が異なっているかもしれないと不安かもしれないが、本当に新しい傾向の問題では、差はつかない。
なぜならば、本当に新しい傾向の問題といえども、大学入試センター試験の生物の過去問や高校で使っている生物の問題集をまじめに解いている人であれば、皆ができる問題、または、そういうことをしていても、ほとんどの人が解けない問題のいずれかに分かれるのが普通である。
後者ができようができまいが差はつかない。
したがって、制度が変わるからといって、大学入試センター試験の過去問を無視することはお勧めしない。

なお、高校で使っている生物の問題集で進めたところだと思って、解いてみたら、解けなく、解説を読んでみて、まだ習っていない単元であることがわかった場合は、とりあえず、無視していてよい。
過去問の解答・解説を見ながら、高校で使っている図表集の索引などを使って
高校で使っている図表集のどこを間違えたかを特定する。

生物は、教科書よりも、図やイラストを眺めた方が力がつく。
高校の授業中も、高校で使っている図表集の該当するところを開き、その図やイラストを眺めながら授業を受けることをお勧めする。

そして、高校で使っている図表集のここさえ、知っていたら、正解だった箇所(図や表も含む。)を、色鉛筆(色がついたペンでも可)で囲む。
高校で使っている図表集に該当する箇所がない場合は、ノートを作り、ノートに、その問題を解くのに必要な単語、または、文(または文章または簡単な絵)を書く。
漢字・ひらがな・カタカナを書くことが必要な問題の場合は、漢字・ひらがな・カタカナを、計算用紙に書いて、練習する(小学校のときの漢字の書き取り練習をイメージして行う)。
なお、漢字・ひらがな・カタカナを書くことが必要な問題の場合は、高校で使っている図表集の該当部分を囲むときに、「W」(Writingの意味)とでも書いて、書き取りが必要であることを示しておく。ノートの場合も同様。

あとで、高校で使っている図表集・ノートを読むときに、記号問題で出題される箇所は読むだけ、「W」の印がついたところは、計算用紙で書き取り練習をするというように、時間を節約できる。

⑤ 翌日以降のどこかで、印のついた問題を、解く。
⑥ さらに間違えた場合、さらに翌日以降のどこかで…(解くことができるようになるまでこの繰り返し。)
⑦ 生物がある模試の2週間前から、高校で使っている図表集の色鉛筆で囲んだところ、ノートだけを読む。
⑧ 模試を受け終わった後、間違えたところは、同様に、①~⑥を行う。

ちなみに、大学の生物や生物から発展した学問は、暗記であるし、大学の教官もそのような定期試験を出題する。

「医学部の勉強は基本的に暗記なので何度も目を通して、確実な知識として覚えることが大切です。」

『夜は短し歩けよ医学生』のHPの『【学生生活】医学部の試験勉強は量が多い。大変だからこそコツコツする勉強法を紹介。』(2019年7月2日)
https://yu-yorozoo.com/medical-howtostudy-2ndend/
医学部を代表例として挙げたが、大体、どこの生物関係の学部でも、暗記が求められる。

したがって、高校生の間にこのような勉強方法で学ぶと、大学で生物や生物から発展した学問を学ぶときに役に立つ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック