昭和33年度の一橋大学受験生向けの日本史の傾向と対策

1958年度(昭和33年度)の一橋大学受験生向けの赤本(教学社)に載っていた一橋大学の『傾向と対策』p 8~9の『日本史』を載せてみる。

ただし、ブログ記事であるので、入力方法を変更したところがある。






傾向と対策

日本史


・30年次
問題番号1 内容:荘園の発達 時代:奈良~桃山 形式:正誤訂正とその理由
問題番号2 内容:江戸幕府の外交 時代:江戸末期・明治 形式:資料設問

・31年次
問題番号1 内容:時代関係その他 時代:全時代 形式:4項目の12短文設問
問題番号2 内容:世紀人物その他 時代:全時代 形式:5項目の史料設問

・32年次
問題番号1 内容:明治維新 時代:江戸末期・明治 形式:4項目の短文設問
問題番号2 内容:足利義満の外交その他 時代:古代・封建 形式:5項目の史料設問


 毎年, 2問ずつ出題の一橋大の日本史には, 他の大学にみられないような, はっきりした傾向が考えられる。
 第1に, 2題のうちの1題は必ず史料を読んでの設問が出されていること。
 第2に, 他の1題も, 簡単な記述を要求する設問形式の出題であること。
 第3に, 内容は, 広汎かつ微細に暗記された知識よりも, 要所々々について, 深く考える知識が要求されていること, である。
 一橋大の日本史はよい, と毎年の受験生の間で定評があるのも, ひねくれたり, 難解にすぎたりして, いたずらに受験生をとまどいさせるような出題はなく, いちおうは誰にでも答えられそうな問題で, しかも, 合格点をとるためには, 日本史の要点について, 常識以上の深い知識と理解を要求しているからである。
 30年度の1番は, 荘園の発達と武士の勃興についての問題であるが, 簡単な設問の中に, 古代~中世の基本知識について, 深い理解を要求しているし, 2番は, 1844年の和蘭王の開国勧告の書簡から, その前後の外国関係を考えさせている。
 このように, 1, 2番とも大きな問題を出すこともあるが, むしろ, 31, 32年度のように, いろいろな問題を組み合わせた綜合問題の形が多いのは, 出題数が2題なので, 内容を片よらせず, 各時代の各部門について綜合的な日本史の知識を問おうという, この大学の独特の配慮からなのであろう。それも, 32年度の足利義満の外交が, 29年度にも出題されていたりするように, 毎年の出題の方針は, これという作意なく, きわめて無雑作のようにみえる。それに対して, 要求される解答も, 字数や内容に特に制限をつけずに, 自由にお答えなさいという態度である。
 要するに, 日本史の重要事項について, 四角ばるでもなく, ひらきなおるでもなく無雑作に設問して, 自由に答えさせて, 解答者が気のきいた答案を書くのを待つというのが一橋の日本史である。
 だから, 一橋の日本史は勉強しやすい。日本史の重要事項をやまとして, むやみに暗記するのではなく, 深く考えてよく理解しておけばよい。深く考えてよく理解するためには, 多くの参考書を広く読み, そのうちの一冊を深く理解して読むのがよい。毎年, 出題される史料は, 教学社発行の「日本史資料集」に掲載されている常識的な史料ばかりであるから, それをひととおり読みとうしておけば申し分ない。しかし史料は, 設問の導入に使われているのだから, そのばあいでも, 史料を通して, 歴史事実を考える態度がだいじである。



「30年次」、「31年次」、「32年次」については原文の通りに入力した。本文の「~年度」と表記が一致してないが、そういうところも原文の通りに入力した。「読みとうしておけば」、「そのばあいでも」、「だいじである」については原文の通りに入力した。
ちなみに、『全訂 日本史資料集』(教学社。1967年(昭和42年)4月10日発行。定価160円。監修者:小葉田淳)があった。これはおそらく教学社発行の「日本史資料集」をいろいろと改良したものだろう。



以下、私の考えを書いておく。

上記の文章を読んで、一橋大学に合格するために、日本史では、小学校・中学校・高校で学んでいることだけでは足りないように思ったかもしれない。

しかし、1960年(昭和35年)11月実施 旺文社模試では、一橋大学の合格者平均点の得点率は62.1%~64.7%であり、低かった。
駿台模試の話ではない。
問題が易しい旺文社模試なのにこんなに低かったのである。

したがって、難問を解くことができなくても合格できたことがわかる。

特殊事情がない限り、基礎ができてない者が難問を解くことができるわけがない。
それに英語・数学・国語がこの程度の出来なのに日本史だけが高校レベルを超えているのが当たり前というのは不自然である。
それに、年度については昭和33年度からほんの2年間しか経過してない。
この程度の年数で一橋大の人気が凋落したと考えることは不自然である。

それに、1959年度(昭和34年度)ごろの一橋大学の第2次試験の合格者最低点の得点率の目安も58%~63%程度であり、低かった。

年度については昭和33年度からほんの1年間しか経過してない。
この程度の年数で一橋大の人気が凋落したと考えることは不自然である。

そういう点からも、難問を解くことができなくても合格できたことがわかる。

以上より、小学校・中学校・高校で学んでいることを中心にして勉強していけば合格できたことがわかる。



このへんは
『旺文社模試(昭和35年11月実施)なのに東大文科Ⅰ類の合格者平均は7割未満だった。』(2020年1月16日)
https://supplementary.at.webry.info/202001/article_5.html
『昭和35年度一橋大学受験生向けの大学案内(合否の目安・就職状況)』(2020年1月4日)
https://supplementary.at.webry.info/202001/article_4.html
で述べた。




【1960年(昭和35年)11月実施 旺文社模試の合格者平均点】
一橋大(経済学部) 220点(得点率:64.7%)← 旧商大
一橋大(法学部) 216点(得点率:63.5%)← 旧商大
一橋大(社会学部) 213点(得点率:62.6%)← 旧商大
一橋大(商学部) 211点(得点率:62.1%)← 旧商大







【1959年度(昭和34年度)ごろの一橋大学の第2次試験の合格者最低点の得点率の目安】
(大学当局からは合格者最低点は非公表であった。しかし、当時の赤本(教学社)に載っていた「大学案内」の「合否の目安」に目安が載っていたので、それをもとにして私がまとめたもの)

商学部:504点程度(800点満点)(得点率:63%程度)

経済学部:504点程度(800点満点)(得点率:63%程度)

法学部:480点程度(800点満点)(得点率:60%程度)

社会学部:464点程度(800点満点)(得点率:58%程度)




せっかくだから、国立大学で個別試験に日本史があり、かつ、その大学の大学別模試の日本史の過去問集がある場合の現在の受験生におすすめの日本史の勉強法を書いておく。

① 実際に受験する予定の大学の個別試験の過去問と、その大学の大学別模試の過去問集を解く。
すぐに解ける問題は解き、そうでない問題は、すぐに、解答を見る。
高校3年の夏休みまでは、授業で進んだ範囲だけでよい。高校3年の夏休みに入ったら、高校の授業で進んでない範囲もこのように行う。
以下、このへんは同様であるので省略。
② 間違えた問題がかなり多いだろうが、これから覚えればいいと考える。
③ 過去問の解答・解説を見ながら、高校で使っている教科書の索引などを使って、教科書のどこを間違えたかを特定する。
そして、教科書のここさえ、知っていたら、正解だった箇所を、色鉛筆(色がついたペンでも可)で囲む。
教科書に該当する箇所がない場合は、ノートを作り、ノートに、その問題を解くのに必要な単語、または、文(または文章)を書く。
漢字・ひらがな・カタカナを書くことが必要な問題の場合は、漢字・ひらがな・カタカナを、計算用紙に書いて、練習する(小学校のときの漢字の書き取り練習をイメージして行う)。
なお、漢字・ひらがな・カタカナを書くことが必要な問題の場合は、教科書の該当部分を囲むときに、「W」(Writingの意味)とでも書いて、書き取りが必要であることを示しておく。ノートの場合も同様。

あとで、教科書・ノートを読むときに、記号問題で出題される箇所は読むだけ、「W」の印がついたところは、計算用紙で書き取り練習をするというように、時間を節約できる。
④ ①~③を繰り返して、個別試験の過去問と、その大学の大学別模試の過去問集を、最後までやる。
⑤ 日本史がある模試の2週間前から、教科書の色鉛筆で囲んだところ、ノートだけを読む。
このとき、漢字・ひらがな・カタカナを書くことが必要な場合(「W」の印がついたところ)は、もう1回、1通り、計算用紙に、漢字・ひらがな・カタカナを書いておく(小学校のときの漢字の書き取り練習をイメージして行う)。
⑥ 模試を受け終わった後、間違えたところは、同様に、①~③を行う。
ちなみに、この方法の場合、教科書を使うので、単語だけでなく、流れも覚えることができる。

日本史や世界史の場合、高校で使っている教科書を中心にして勉強すると効率的である。
なお、教科書に載ってなかったが、高校で使っている本(図録など)に載っていたときは、ノートに書くかわりに高校で使っている本(図録など)で上の勉強法を行うと効果的だろう。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック